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管理職・経営者におススメする今週の1冊 「エクセレントマネジャー」第1回目

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中小企業診断士・なべケンの管理職・経営者におススメする今週の1冊

「エクセレントマネジャー」第1回目

著者 R・H・ウォーターマン クレスト社

 

今回は、『エクセレントマネジャー』を取り上げます。本書は、今もなお、名著と呼ばれる「エクセレント・カンパニー」の著者であるR・H・ウォーターマンの著書です。本書は、業績が良好な企業や、その成功事例を分析し、成功する条件を明らかにしています。そして、本書では特に、中間管理職や現場のマネジメントについて、多くが語られています。成功する企業の条件は、人間的経営であり、従業員や顧客を徹底的に尊重する組織が真の競争優位を得ると述べています。

ところで、皆さんは、業績が良い企業と悪い企業の違いは何と思われるでしょうか。私は、中小企業の支援を100社以上にわたり実施してきましたが、ある結論に至りました。それは、常に顧客ニーズに応えるよう行動する組織を作るかどうかです。経営者だけではなく、末端の従業員も全てそのように行動することが大事だと考えています。

偶然ながら、著者も同様のことを本書で論じています。本書では、業績トップを誇る企業が他社と違う点は、組織のあり方だと言っています。それは、社員のニーズと顧客ニーズの両方に応えるよう上手く組織されているということです。ピーター・ドラッカーも「企業は、経営理念や戦略など、他の何を変えても良いが、顧客ニーズに応えることだけは変えてはならない」と言っています。つまり、顧客のニーズに応えられるよう行動する組織を作るために、社員のニーズに応え、モチベーションを高めていくことが必要というわけです。今回の第一回は、顧客のニーズに応えることと社員のニーズに応えることについて、内容を深くみていきたいと思います。

 

戦略の実行が大事

著者は、成功している企業は、素晴らしい新製品や戦略があったから抜きんでているわけではないと述べています。ごく単純なアイデアや、他の企業が諦めたことでも、彼らは諦めずに実行し、成し遂げたからこそ、成功しているということです。そして、何を実行するのが大事かというと、①継続的なイノベーション、②顧客の満足に応える仕組み、③コストを抑える継続的な努力です。その全てにおいて組織形成のやり方が非常に重要であると言っています。これらは、当然のことを言っているようですが、私は、非常に奥が深いと感じます。

例えば、企業の売上は、顧客がもたらしますが、そのニーズは、時事刻々と変化します。一定の満足が得られたら当然、より高いものを求めるのが人間です。そういった要求に応えていくためには、顧客が望むものを提供し続ける必要があります。私が実際に支援してきた中で、業績が芳しくない企業は、ほぼ全てにおいて、継続的にイノベーションを生み出そうという仕組みがありません。逆に、それがある企業は、業績が良好であったり、悪化しても必ず回復しています。コロナ禍でも業績が回復するのは、その仕組みがある企業です。

さらに、顧客の満足に応えたり、継続的なコスト削減に取り組むことは、単純そうに見えますが、絶え間ない改善努力が必要です。トヨタ自動車のカイゼンはその顕著なものかと思いますが、それ自体が、他社には真似できない競争優位性になっていると思います。

 

何が人を動かすのか

そして、それらを実行に移していくには、全ての従業員の力が必要なのは当然です。では、何が人を動かしていくのでしょうか。本書では、次の4つだと述べています。一つ目は権限委譲です。旧来のマネジャーは他人を管理することが大事だと考えていましたが、今後のリーダーは、権限を委譲し、現場が自らコントロールできる仕組みを作ることが大事だということです。二つ目は、従業員が仕事の価値を信じ、やりがいのある課題を見つけることです。人は課題を与えられることを好み、手近に見つからない時は、わざと作り出すものだと本書では述べています。三つ目は、従業員の生涯教育に取り組むということです。これは、人は学ぶことが好きであるという考えからきています。その考えには、私自身も非常に共感します。人に強制されず、自身で見つけたものに対しては、人は学びに対して貪欲な生き物ではないかと日々感じます。そして、最後は、業績を評価するということです。人間誰しも他人からよく思われたり、評価されたいものだと思います。これには、金銭や地位などだけではなく、感謝の言葉などをかけることかも知れません。人間には、それぞれに興味関心があるからです。

この人を動かす仕組みをどうするかは、私も企業の支援の現場や、または、自身の会社が抱える従業員に対しても、普段から非常に悩んでいます。人間は、理性を持ちつつも、感情で動くものです。従って、従業員が何に興味をもち、将来、どのような人生を望んでいるかなどを理解することが、適材適所への配置やモチベーション向上につながると考えます。現在は、一昔前と違い、終身雇用の労働観が大きく変化してきています。インターネットやSNSの普及により、簡単に多くの情報が手に入り、多くの人と気軽に繋がれる時代です。当然、転職先も簡単に見つかる時代なので、いかに従業員のニーズに応えていくかということが、今後はますます重要になると思います。

 

新しいリーダー像

前述のような点について、本書では、P&Gやリーバイスといった有名企業の事例を交えて書かれています。第二回目以降で、企業の事例もみていきますが、ここで、私が考えているこれからの時代に必要なリーダー像について、少しお話したいと思います。これからの時代は、単純作業や定型業務が、ITによる効率化、AIによる自動学習などによって、ある程度自動化されていきます。また、ロボットがさらに普及していく中で、リーダーは、管理や監督をしていく必要性が減少していきます。その代わり、創造的な業務を手助けする支援者としての役割が求められていくでしょう。従って、本書で述べられているような人間的経営、つまり、従業員の興味や人生設計、やりたいことなどを具現化してきつつ、それを継続的なイノベーションや顧客ニーズ、コスト削減につなげていくようなマネジメントが必要になってきます。管理する立場から、方向性を明確にし、組織や従業員を牽引していく能力や立場が求められるでしょう。本書は少し古い本ですが、現代の情勢に合った内容が書かれていることに少し驚きました。本書を読むことで、今後の新しいマネジャー像を見つけられるのではないかと思います。是非、管理職の皆さんには一度読んでみてほしい本です。

 

 

 

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