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管理職・経営者におススメする今週の1冊 「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則」第1回目

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中小企業診断士・なべケンの管理職・経営者におススメする今月の1冊

「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則」第1回目

著者 ジェームズ・C・コリンズ 日経B P社

 

今回は、ベストセラー『ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則』を取り上げます。この本は、いわゆる名著と呼ばれ、非常に多くの経営者が読んでいるのではないでしょうか。ビジョナリーカンパニーは、シリーズ化され、全5冊発行されていますが、本書はその中でも最初に読んでおきたい本だと、私は思います。理由は、企業が飛躍し、それを持続するまでの過程において重要なことがまとめられているからです。

本書では、偉大な企業への飛躍を遂げ、その実績を長期にわたって維持できた11社(以下、「ビジョナリーカンパニー」と呼ぶ)を、比較対象企業と比べ、その要因や違いについて書かれています。比較対象企業は、飛躍を遂げられなかったか、偉大な実績を維持できなかった企業です。ビジョナリーカンパニーの変化の過程は、準備とその後の突破であるとし、全体を大きく三つの段階に分けています。一つは規律ある人材、二つ目は規律ある考え、三つ目が規律ある行動です。そして、三段階のそれぞれに二つの主要な概念があり、全体を弾み車のように回していくことが必要だと主張しています。

ビジョナリーカンパニーになるための要因は、以下の7つであると分析しています。

  • 第五水準のリーダーシップ
  • 最初に人を選び、その後に目標を選ぶ
  • 厳しい現実を直視する
  • ハリネズミの概念
  • 規律の文化
  • 促進剤としての技術
  • 弾み車と悪循環

 

詳細については、今月から3回にわたって、見ていきたいと思います。

 

第五水準のリーダーシップ

皆さんはビジョナリーカンパニーへの変化の要因として、一番にカリスマ的な経営者を思いつくのではないでしょうか?業績をV字回復させた企業やベンチャーから上場に至る企業等、どうしても経営者のカリスマ性が注目されがちです。しかし、本書では、ビオジョナリーカンパニーは全て、第五水準の指導者に率いられていたと述べています。「第五推水準の経営者」とは個人としての謙虚さと職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、持続可能な企業を作り上げる人であると言っています。具体的には、次の特徴があります。

  • 野心が個人ではなく会社に向けられている
  • 謙虚で控えめであり、飾らない
  • 熱狂的と言えるほど意欲が強く、かつ企業を飛躍させるためであれば困難な決定でも下す
  • 成功した場合は自分以外の要因(時には幸運が要因とする)を探し、結果が悪い時は自分の責任と考える

 

一方で、比較対象の企業はそれとは全く逆だと言います。

私は、普段は、中小企業を中心にコンサルティングを行なっていますが、この要因は非常によく当てはまると思います。私の場合、事業再生支援が中心ですが、事業が窮境に陥ったり、または、その後、業績が回復したりする企業の変化を見ていると第五水準のリーダーシップが非常に重要だと感じます。例えば、窮境に陥る企業でも、過去には業績が非常に良い時期が当然あります。そういう企業は決まって、業績良好な時期に、経営者の個人的野心に基づいた意思決定をしているケースが多い気がします。例えば、本業と関係ない不動産を買う、利益が出ているからといって会社名義で高級外車を買う、個人的な趣味で有価証券投資を行うなどです。そのような投資をしていると、いざというときの内部留保や現金預金が蓄積されず、業績が落ち込むと、窮境に陥りやすくなります。また、経営者としてのステータスや個人的な交流を重視するあまり、交流会や飲み会に明け暮れ、社内のガバナンスが欠如するということもよく起こります。結果、社内で不正が起きたり、従業員の心が離れ、モチベーションが低下してしまうということもよくあります。また、業績が悪化した後も、個人的な野心が立て直しを邪魔することもあります。例えば、業績が悪化してもあれこれと言い訳をつけて、役員報酬を下げようとしないケースは非常に多いです。また、事業に関係ない個人的な不動産や有価証券、高級車などを売却することに非常に躊躇します。逆に、潔く、不要な資産を売却し、役員報酬を下げる等の自らの身を切る覚悟がある経営者は必ずと言って良いほど、業績は回復します。また、支援をする金融機関もそのような経営者には、より一層の支援を行いたいと思うでしょう。経営者は常に会社が存続するためにはどうしたら良いか考え、個人の野心を極力抑え、できるまでやるという精神を持って、行動することが大事だと思います。

 

最初に人を選び、その後に目標を選ぶ

ビジョナリーカンパニーは、まず初めに適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうかを決めていると、本書では述べています。ビジョンも戦略も戦術も組織構造も「誰を選ぶか」を決めた後に考えるということです。通常の経営書や経営学の教科書では、ビジョンや戦略を考え、戦略や戦術に基づいて組織の構築、人材の採用を行うというのが一般的です。それとは全く逆のことを言っているわけです。私は本書でこの考えに触れた時、目から鱗が落ちたようでした。適切な人材を集める前に戦略・戦術を決めてしまうと、従業員がその戦略に馴染めずモチベーションが低下したり、能力が足りないため、育成するのに時間がかかる、あるいは育成できないという事態が発生しやすいと思います。本書では、疑問があれば採用せず、人材を探し続けることが大事だと言っています。成長の最大のボトルネックは適切な人々を採用し、維持する能力であるということです。ここで大事なことは、能力だけで採用するということではなく、倫理観や意欲、業務への興味、貢献意識など性格や基礎的能力を多面的に考え、組織の同じ仲間として適切かどうか判断することだと思います。

特に中小企業は、人材だけでなく金銭的にも余裕があるわけではありません。また、ほぼ全ての人間が日々業務に追われ、忙しい場合が多いです。そのような中で、適切な人材を探し続けるような時間的、金銭的余裕もありません。それでもなお、そのような人材をこだわり持って探し続け、先行して人材を集めていくことが非常に大事だと考えさせられました。

私も、コンサルティングの他に、子供向け教育事業を行なっている会社を経営していますが、あらためて反省したことがあります。

弊社は零細企業で、立ち上げ当初からずっと、人を何人も雇用する利益的余裕のある会社ではありませんでした。そのため、私が事業の方向性や戦略、戦術を決め、それを遂行してくれるメンバーを雇用していました。とにかく事業を早く走らせなければいけないという思いから、十分に検討して採用をしていたとはとても言い切れません。その結果、2年ごとに人が入れ替わるという事態が発生し、その度に、採用の時間的、金銭的コストが発生する結果となりました。事業規模や、利益状況にかかわらず、また、事業展開のスピードが遅れてでも、時間をかけ、かつ十分な検討を行いながら人材を採用すればよかったと反省しています。

 

以上、今回は、経営トップを含めた人材面について、見てきましたがいかがだったでしょうか。繰り返しになりますが、私自身は、適切な人を先に採用し、その後に戦略や目標を考えることが重要という内容には、非常に衝撃を受けました。本書の内容は、非常に多くの企業のデータから深い分析を行い、結果として導き出されたものです。従って、この飛躍の法則が、当てはまることも、多いのではないでしょうか。皆さんもそんな観点から、読んでみていただけると気づきが得られるのではないかと思います。

 

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