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管理職・経営者におススメする今週の1冊 「GRIT やり抜く力」第2回目

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管理職・経営者におススメする今週の1冊は、「GRIT やり抜く力」第2回目です。

今回も、前回に引き続き、「GRIT やり抜く力」について、内容をご紹介していきます。前回は、「やり抜く力」とは何か、その重要性、成果との関連などについて書きました。今回と次回は、本書で述べられている「やり抜く力の伸ばし方」について、その人の内側から伸ばす方法、外側から伸ばす方法についてそれぞれお伝えします。

さて、皆さんは、「やり抜く力は伸ばせる!」と聞いて、どのようにすれば良いと思われますか?困難な目標を与えて、それを勇気づけ、達成するまで努力するよう促すといったところでしょうか。それ自体は間違いではありませんが、本書では、もう少し体系立った伸ばし方が紹介されています。それは3段階の発展形式と呼ばれています。①個人的な興味を持つように促し、②興味を持ったことに対し真剣に取り組むようにし、③人の役に立つという「目的」を見出す、という流れです。それぞれを具体的に見ていきましょう。

興味を結びつける

本書では、「興味」を研究している科学者たちがこの10年で以下のような結論に達したと述べています。

(ア)→人は自分の興味に合った仕事をしている方が、仕事と人生の両方で満足度が高い

(イ)→人は自分のやっている仕事が面白いと感じている時の方が成果が大きくなる

どんな仕事をするにしても、その人の成功を左右するのは、その人が仕事をどれだけ切望し、どれだけ強い情熱と興味を持っているかにかかっているということです。そして、本当に興味を持てるようなものに出会うのには相当な時間がかかる場合が多く、偶然の要素も多いと言えます。そして、興味を持てることが見つかったら、さらに長い時間をかけて積極的に掘り下げ、興味をかき立てられるような経験を増やしていく必要があると述べています。また、興味あることを見つける時に重要なのは励ましを受け、楽しく満足感の得られるものにすることです。

事実、経営者や起業をしている人たちは、同じようなことを言っています。ホリエモンこと堀江貴文さんもメディアの中で、興味あることにとことん没頭することや面白いと思うことを事業にすることの大事さを語っています。私の周りの経営者も「自分がやりたくないことはやらない。面白いと思うこと、興味が持てることじゃないと継続できない。」と皆言っています。最近は、情報が簡単に手に入り、昔よりも自分が興味を持てることが探しやすくなりました。そのため、若い世代の方々は転職にも抵抗がなく、次々と自分の興味を持てることに力を注げるようになったと思います。これをマイナスに考える方も多いですが、こういう人手不足の時代だからこそ、それをプラスに捉えることが大事ではないでしょうか。具体的には、仕事を一緒にするメンバーの選定や育成にも役立てることができるのではないかと思います。興味を持っている人間の方が成果が出るのであれば、その人を適所に配置することで業績向上につながります。あるいは興味を持つ仕事に取り組ませることで、その人材を育成しやすくなり、組織が強化される可能性があります。これは正社員としてだけではなく、業務委託のような流動的な組織運営で実行することもできます。このように、興味と仕事を結びつけることで、今までにない組織のあり方を追求できる時代になってきたのではないかと思います。

真剣に取り組むことで成果を出す

著者は、やり抜く力のある鉄人は、興味のあることに取り組んだ時間だけでなく、その質も関係していると述べています。その取り組み方は、以下の流れということです。

(ア)→自分が達成していない困難な目標を選び、高めの目標設定をする

(イ)→集中して努力を惜しまず、目標を達成する

(ウ)→パフォーマンスが終わるごとに熱心にフィードバックを求め、否定的な意見に対処する

(エ)→改善点が分かった後は上手くできるまで繰り返して何度でも練習する

(オ)→目標を達成した後はさらなるストレッチ目標を設定する

この繰り返しを行うということです。これは、組織でも個人でも当てはまると思います。まさしく、トヨタ生産方式のカイゼンは、これを具現化したものですし、個人ではイチロー選手が有名です。以前、テレビで放映されていた特集によると、イチロー選手は一人で黙々と努力もしますが、オフの自主トレ時には、親交の深い川崎宗則選手や、地元のファンの方々と一緒に練習をします。その中で、アドバイスを受けたりして、自分の改善点を見つけようとしていました。簡単なことのように見えますが、このサイクルをずっと回していくことは非常に根気が必要です。しかし、続けることによって、小さな成果が出始め、そこで達成感を味わうことができるため、楽しくなってくるのだと思います。それがさらなるスパイラルを生み、やり抜く力につながるのでしょう。

私自身の経験からも小さな成功は達成感だけでなく自己肯定感も生みます。何も目標を定めず努力するよりも明確な目標を定めた方が、達成感や自己肯定感は強くなります。だからこそ、仕事でもプライベートでも常に高い目標を定めることが大事です。ちなみに私も、毎年正月に必ず、公私、両方の目標を立てますが、机の横に目立つように貼っています。そして必ずできるように努力は惜しまないようにしているつもりです。

目的を見出す

興味だけでなく目的意識がともなえば、やり抜く力はさらに伸びるということです。やり抜く力の鉄人は皆、目的について、他者や社会全体への貢献について言及するそうです。つまり、人々の役に立つかどうかということです。人間には利己的な考えと利他的な考えが共存していますが、当然やり抜く力の強い人も利己的な考えは持っています。そこに、利他的な考えを合わせることでやり抜く力が伸びていくということです。さらに、目的や意義を見出すためには、それをただ考えるだけではなく、手本となる人物からインスピレーションをもらうことが重要だと言っています。私は、この考え方に深く共感するとともに、そのためには、著名人の自伝を読むことをお勧めします。私自身は、楽天創業者の三木谷さんをロールモデルとしてきました。20代から30代にかけて三木谷さんの書籍を読みあさり、こんな生き方や考え方をしようとして行動してきました。経営学を学ぶために中小企業診断士を取得したのもそうですし、起業をしたのもそうです。やはり社会的な課題を解決したいという思いがあったからこそ、努力を継続できているのだと思っています。

いかがでしょうか?内側からやり抜く力を伸ばすのは、一見当たり前のように聞こえるかも知れませんが、継続することは非常に難しいのではないでしょうか。これは組織でも個人でも言えると思います。目標管理制度を導入したは良いが、形骸化している企業も多いのが実情です。

従って、いかに、興味を持つ・真剣に取り組む・目的を見出す、この三点を意識して習慣化していくかが大事になってくると思います。経営者や管理職の皆さんは是非、部下のやり抜く力を伸ばす方法として実践して頂ければと思います。