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管理職・経営者におススメする今週の1冊 「ザ・ゴール コミック版」

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管理職・経営者におススメする今週の1冊は「ザ・ゴール コミック版」です。

 

皆さんは、なかなか仕事が予定通りに終わらなかったり、残業がどうしても増えがちになるという経験はありませんか?

最近は、働き方改革が国会でも議論されたりしていますが、できる限り短い時間で最大限の成果を出したいのは当然のことと思います。特に管理職になると、仕事が増えて、残業が増えがちになるのではないでしょうか?

 

そこで、今月ご紹介したい一冊は、イスラエルの物理学者であり、そして、いまやカリスマ的経営コンサルタントとして知られるエリヤフ・ゴールドラット氏のビジネス小説『ザ・ゴー ル』のコミック版です。

当然ながら、原作のビジネス小説版がお勧めですが、コミック版だけでもエッセンスは学べる内容になっています。時間がある方は、是非、原作をお読みください。この小説は、全世界で1000万人以上が読んだ大ベストセラーであり、当初、世界で250万部売れたにもかかわらず、その後、17年もの間、日本での出版だけが認められなかったといういわば「幻の名著」でした。

 

本書は、製造業を舞台に、工場の赤字を改善するストーリーになっています。赤字の工場の所長である主人公が、経営コンサルタントからヒントを得ながら、工場のメンバーたちと一緒に考え、試行錯誤し、黒字にしていく過程で大事なことを学んでいきます。納期を短縮することと在庫を減らすことで黒字にしていくのですが、ここで学べることは、工場だけではなく、通常の仕事にも役に立つ内容です。特に管理職であれば、全体の仕事を上手くマネジメントし、短い労働時間で最大の成果を出すことを求められますよね。それが、本書から学び取れます。

 

本書は、当初、工場を改善するためにロボットを入れて効率化を図ったり、人員を減らして経費を削減しても、工場の納期は長くなるばかりで、在庫がたまり、赤字がむしろひどくなっているという状況からスタートします。

そして、改善するためには、目標(ゴール)を正しく設定しないといけないという認識からスタートします。工場の黒字を達成するには、①販売(出荷)を通じて売上(スループット)につなげること、②在庫(販売する製品を作るために投資したお金)を削減すること、③在庫をスループットにつなげるために費やすお金を減らすこと、です。

つまり、分かりやすく言えば、収入を増やしつつ、支出をコントロールしてキャッシュフローを増やすことです。

 

ちなみに企業の生命線は利益ではなく、キャッシュフローです。企業は、黒字でも倒産する場合があります。しかし、キャッシュフローがプラスであれば、黒字であろうが赤字であろうが潰れることはありません。詳しいことは割愛しますが、その重要さも本書では述べられています。

 

そして、工場の収入を増やすのは出荷であり、納期をいかに短くして、生産をしていくかということになります。また、支出を減らすためには、在庫を削減していくことも必要です。この二つを同時に実現するためには、工場の流れのなかで、一番生産能力が低い工程(ボトルネック)をまずは改善し、そのボトルネックに合わせて、生産を同期化することが大事だということが書かれています。

 

本書では、これを子どものハイキングに例えています。10人の子供が一列に並んで、山を登っているところ、登るのが遅い子がいるところから後ろがだんだんと遅れていきます。つまり、登るのが遅い子によって、全体の登るスピードも影響されるということです。そして、その遅い子のリュックサックの中身を軽くして、登るスピードが上がることによって、全体のスピードがアップすることが分かります。

これを工場で考えると、ボトルネックの生産工程を改善することで、全体の生産スピードが上がるため、納期が短縮できるようになります。そして、ボトルネックは生産するのに時間がかかるので、在庫がたまりがちになります。そこで、前の工程の生産量をボトルネック工程の生産スピードに合わせることで、無駄な在庫が減ります。さらには、生産工程に流す量をできる限り小さくすることで、全体の生産プロセスを短くでき、結果、納期が短縮されるということに繋がります。そして、納期短縮という顧客の要望に応えられるため、受注が増え、売上につながり、利益が増えます。この一連の流れを普段から行なっていき、改善点を明らかにしていくことが重要だと述べられています。

例えば、二車線道路で、道路工事をし、一車線通れなくなっていると、その箇所がボトルネックとなって、渋滞が起こります。この渋滞は無駄な在庫が溜まっているのと同じですよね。そして到着も遅れますから、納期が遅れるのと同じです。しかし、工事が終わり、ボトルネックが解消されると在庫も解消され、到着も早くなります。つまり、まずはボトルネックの能力を引き上げることが重要だというのは普段の生活でも同じなのです。

 

そして、通常の事務仕事や個人の業務、またはプロジェクトマネジメントなどに当てはめて考えることもできます。

例えば、ある報告書を月末までに5人の部署でまとめなければならいないとします。5人のうちのAさんだけがいつも報告書をまとめるのが遅く、その内容を反映させてまとめるBさんが、仕事ができず待機をさせられ、困っているとします。この時に、当然のこととして、ボトルネックとなっているAさんの報告書作成を早くしなければ全体の完成も早くなりません。そのためには、Aさんのサポートを増やすなどの対応が必要になります。

 

私も、普段から仕事では、一番難しそうなものや時間がかかりそうなものから手を付けるようにしています。最初に手を付けることによって、どのような外部のサポートがあれば短縮できそうか、あるいは、どのくらいの資源(時間やマンパワー)を投入すれば良いかをあらかじめ把握することによって、納期に間に合わせることを重要視しているためです。工場でも、通常の仕事でも、QCD(品質・コスト・納期)が重要と言われます。その中でも、一番重要なのは納期です。納期に間に合わなければ、売上自体を失うからです。

 

経営者や管理職の方々は、常に、組織の中で、仕事を調整し、納期に間に合わせて行かなければいけません。業績目標も、ある意味、納期です。例えば、3ヶ年で売上・利益の目標を立てれば、達成するために逆算して、行動計画を立てていかなければなりません。その中で、ボトルネックになるものを見極め、それを改善していくことで、全体の目標達成スピードをはやめていくことが、リーダーに求められると思います。そういう意味でも、本書の内容は、経営者・管理職の方々の仕事に大いに役立つと思いますので是非お勧めです。