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管理職・経営者におススメする今週の1冊 「エクセレントマネジャー」第3回目

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中小企業診断士・なべケンの管理職・経営者におススメする今週の1冊

「エクセレントマネジャー」第3回目

著者 R・H・ウォーターマン クレスト社

 

今回も、引き続き『エクセレントマネジャー』です。本書の紹介はこれで最後になりますが、やはり、この著者ならびに本書は非常に学ぶことが多いです。

ところで、経営者や管理職の皆さんに質問です。普段、部下に対し、叱ったり無関心だったりするのと、一方で、褒めたりするのはどちらが多いですか?

おそらく、褒めているのが多いと本心から言える方は少ないのでないしょうか。これは、私のコンサルティングや起業した経験からもはっきりと言えます。特に日本人は、褒めるということを照れ臭いと考える人が多いです。自信を持って褒めるということをできている人は少ないのではないでしょうか。ご結婚されている方は、実感としてよく分かると思いますが、褒めたり認めあったりしている夫婦は仲が良いケースが多いです。話が少しそれましたが、本題に入っていきましょう。

下向き組織の重要性

本書で、最も重要なテーマとして述べられているのは、生き残っている有名企業に共通するのは、「上向き」ではなく「下向き」に組織を作るという意思と能力を持っていることです。これはつまり、健全な体質を維持している企業は、自社の客を喜ばせ、自社の社員にやる気を起こさせるように組織を作っているということです。この一見、当たり前に見えるようなことが、実は非常に難しかったりします。人間は感情で生きているからです。だとすれば、従業員にやる気を起こさせるために何をしたら良いのでしょうか?私は、取り得る選択肢としては、次の4つだと思います。

  • 統制管理して、上司の強権発動を行う。アメとムチを使い分けて、実行するよう促す
  • 従業員本人がやりたいとことをできるような組織体制にする
  • 褒めたり承認することで組織にとって重要な人間だと伝える
  • やる気のある人間だけを残す

どれが正解というのはないとは思いますが、①だけでは最近は、人は動かないように感じます。②、③、④がやはり必要です。特に、③を自然とできている企業は、少ないのではないでしょうか。私が支援している中小企業にこんな役員がいます。その方は、取締役営業部長です。本来ならば、プレイングマネージャーとして、部下に動いてもらって業績を上げていかなければいけません、しかし、部下が勝ち取った仕事を自身の手柄にしたり、部下を非難ばかりしています。そのため、部下はやる気をなくし、あきれています。し仕事を一生懸命やっても、承認も賞賛もされないわけですからやる気がなくなるのは当たり前でしょう。このような事例は非常に多く見られます。冒頭、述べたように、日本人は職場でも家庭でも、照れ臭くて褒めるという行為が苦手です。阿吽の呼吸で、お互いに感じ合うことが大事だと考える傾向があります。しかし、言葉に出さなければ、伝わりません。従って、普段から感謝やお礼、賞賛を相手に伝えることが組織にとって重要です。いえ、組織だけではなく、普段の社会生活でも重要でしょう。私のまわりで、ビジネスで成功してる経営者や交友関係が広い方などは、必ず感謝やお礼を常に忘れず、言葉に出しています。

 

マーケティングは机上の空論

本書では、P&Gの研究開発について事例を述べています。同社は、優れた製品がなければ、マーケティングは単なる机上の空論に過ぎないと言っています。つまり、今までよりもはるかに優れた新商品を市場に送り出すことの方が大事だと言っています。同社の取り組みは次のようだと述べています。

  • 経営トップが研究開発に関心を寄せ、実行している
  • テクノロジーのリードを保ため巨額の投資がなされている
  • マーケティングの大原則は「より良い製品を売れ!」である

私は個人的な持論として、次の考えを持っています。「現状維持は倒産の道!」です。つまり、企業は常に新規事業を推進していく姿勢がなければ、衰退すると思っています。この言葉自体が、大学卒業後、入社した会社の社訓でした。その後、事業再生コンサルティングや自分自身の起業を経験していく中で、この言葉がよりいっそう実感できました。また、マーケティングは単なる机上の空論という言葉も納得がいきます。私も、子供向けのプログラミング教室を行う会社を5年前に起業しましたが、当時は、まだニーズが少なく、全く売れませんでした。マーケティングも必死にやりましたが、だめでした。それこそ、新聞折込、チラシポスティング、SEO対策のためのブログと投稿やSNSマーケティングなど、できることは何でもやりましたが、今ひとつ集客できませんでした。まだ売れるものではなかった、つまり、ニーズがまだなかったからです。優れた製品とは、顧客のニーズを喚起するものです。顧客が本当に欲しいと思うものです。まず、そのような製品やサービスを用意することが、マーケティングの前に最も重要です。それを肌身で感じたからこそ、「マーケティングは机上の空論」という言葉の意味がよくわかります。そして、顧客が本当に欲しいものを提供するには、研究や製品開発、新規事業開発に継続的に取り組む社風、組織体制が必要です。これは、企業にとっても最も重要なことだと思います。従って、本書でも述べられているように、経営トップがこれを推進することが必要です。新規事業開発本部長は、経営トップであるべきです。特に日本人は島国なので、新しいことをやることがあまり好きではないと感じます。非常に保守的です。従って、新規事業開発を従業員に任せていては進みません。トップが動かないといけないのです。私が現在支援している企業で、支援前に3年間、売上が毎年20%ずつ下がっていた企業があります。昨年から支援に入ったのですが、聞いてみると、売上が下がっている状況ですら、経営トップは新規事業を生み出そうという行動に出なかったのです。現在は、早急に新規事業を生み出すよう、経営トップと一緒に考え、行動しています。そのおかげもあり、少しずつ業績が改善してきました。事業再生支援をしていると、本当によく思います。「現状維持は倒産への道」だと。だからこそ、マーケティングよりも、新規事業開発が重要なのです。

 

以上、3回にわたって、本書を見てきましたがいかがだったでしょうか。本書は、いかにして、従業員がやる気を出すような組織を作るか、また、マネージャーとしてどのように行動するべきかが事例を交えて書かれています。私も、最近思うのは、企業は「人」なりです。戦略やマーケティングよりも、人が、モチベーションを高め、協調し、目標に向かって努力をしていく仕組みを作ることの方が、大事です。その仕組みが業績アップにつながっていくのだと切に感じます。そんなことをあらためて考えさせられる本だと思います。是非、手元に置いて、繰り返し読んでみてはいかがでしょうか。その価値がある名著だと思います。

 

 

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