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管理職・経営者におススメする今週の1冊 「最強の働き方」第1回目

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メモを取る人

管理職・経営者におススメする今週の1冊は、「最強の働き方」第1回目

今回からは、合計3回にわたり、「最強の働き方」について、内容をご紹介していきます。著者は、「東洋経済オンライン」の超人気コラムニストであるムーギー・キム氏です。彼は、海外トップのM B Aを取得し、外資系投資銀行やコンサルティングファームで長年働いてきた経歴の持ち主です。本書は、その経験を踏まえた教訓がわかりやすくまとめられています。さらに、「ビジネス書大賞2017」の大賞を受賞し、社内の研修教材にも使えそうな一冊です。

皆さんも、ビジネスエリート、あるいは一流と呼ばれる人たちがどのような考え方や行動によって仕事をしているかご興味があるのではないでしょうか。私も、20代の頃から、そうしたことに興味があり、さまざまな本を読んできました。例えば、マッキンゼーやボストン・コンサルティング・グループというコンサルティング会社出身者が書いた本、あるいは著名な経営者が書いた起業の道のりを記した本などです。それこそ、数え切れないほど読みましたが、本書は、その中でも、最高の一冊であると個人的に感じます。

全体は、次の5章で構成されています。①一流の基本、②一流の自己管理、③一流の心構え、④一流のリーダーシップ、⑤一流の自己実現、です。今回は、一流の基本と自己管理について内容をお伝えします。

できる人ほどメモとり魔

著者は、できる人ほど、どんなことでもメモをとり、そのスピードが非常に速いと述べています。仕事ができて信頼される人というのは、頼んだことを正確に理解し、漏れなく実行してくれるという安心感を与えてくれる人であるということです。従って、一流の人のメモは常に構造化され、整然とした論理構造でまとめられていると言っています。

私も国内系のコンサルティングファームで働いたことがありますが、そこでも優秀な人は、メモの取り方が構造的でした。図やピラミッド構造などを使って、聞いた瞬間から論理的に整理をしていたのを覚えています。そして、優秀な方は必ず手書きでした。私も、メモは手書きでとるように叱られたことがあります。

理由は、①手書きにより脳が活性化する、②構造的に整理するにはタイピングでは間に合わない、③メモは忘れないために行うだけでなく、構造的に理解・整理し、後で考え直す時間を減らす、④つまり走りながら考えることができる、ということでした。メモの取り方一つ、仕事の進め方一つを取っても、非常に効率的かつ効果的なやり方をしていると感じました。また、特に①の手書きの方がタイピングよりも脳が活性化するという効果は、アメリカの研究でも明らかにされています。

資料づくりに重要なのは全体像・構造化・シンプル

プレゼンなどの資料を作るときに重要なことば、①全体像を示すこと、②構造化された資料であること、③シンプルでわかりやすいこと、と本書では実例と共に述べられています。まずは全体像について合意しないと後でどんでん返しが起こって、努力が水の泡になるからということです。そして、構造化されていない全体像は、当然抜け漏れやダブりがあります。また、シンプルでないと相手に伝わりにくくなります。複雑で膨大な資料を作るのは、作り手の頭の整理ができていないからです。

これについても、私はコンサルティングファーム時代によく言われました。具体的には、まず資料は、目次とサマリーから作成すること、資料は構造化してわかりやすくすること、要点は三つにまとめることなどです。特に目次を作成していない資料は、上司から目を通してももらえませんでした。そのぐらい目次は大切であると徹底的に叩き込まれました。上司からは、「目次ができていない人間は、全体像を把握できておらず、ゴールからの逆算思考になっていない、つまり積み上げ型の考え方だからだ。積み上げ型の仕事だと時間がいくらあっても足りない」と、よく叱責されました。それ以来は、どんなことも目次から考えるようになりました。本を書くときもそうです。私は、目次があるからこそ、全体像や伝えたいメッセージが明確になるのだとも感じています。

タイムアロケーションが重要

本書では、タイムアロケーション(時間配分)こそが超一流の基本だと述べています。どれほど能力に差があっても時間配分を間違えれば、勝負は逆転するということです。軸を持ち、適切な時間配分をしているかどうかは、会社の経営と同じで、限られた資源をどこに投資して価値を最大化するのと同じかそれ以上です。

人は易きに流れます。そのため、どう考えても成果に結びつかないような仕事をしている時間は少なからず出てくるケースが多いでしょう。例えば、ほとんど仕事に結びつかないような会食という名の飲み会や、インターネットで情報収集しているかと思いきや、いらない情報ばかりを見てしまっている時などです。経営者が参加する異業種交流会などもそうかもしれません。私自身もそういうことは多少あります。したがって、今のこの時間はどのぐらいの確率や効率で成果に結びつくのか、そもそも成果とは何を指すのかなどを普段からよく考える必要があります。

これは人生においても言えると思います。仕事が終わった後、毎日お酒を飲むのか、家で2時間だけでも読書するのかで、人生は大きく変わります。そもそも人生の目標は何で、どのようなことを成し遂げたいのかから考えないといけないかもしれません。今回のコロナウイルスの影響で、仕事が減ったり、休職になった知人からも色々相談を受けました。しかし、話を聞いていると、その知人たちは普段からそのように考えていない方がほとんどです。準備や努力を継続的に行っている方は、その能力や経験に対し、どこかでニーズがあるので仕事に困ることがあまりないような気がします。仕事もそうですが、人生そのものも優先順位を決めて、時間配分をしていかないといけないとあらためて感じます。

学習習慣を持ち進化する

先ほどの人生における時間配分と関連しますが、学習習慣を持つことは非常に重要だと本書では言っています。例として小泉政権時代に金融担当大臣を務めた竹中平蔵さんが挙げられています。竹中さんは、大臣時代の超多能な時でも、毎日2時間は机に向かって読書をする時間を作ったそうです。

私自身も、毎日1時間〜2時間は本を読むように心がけています。また、私の周りの方々も成果が上がっている方は常に本を読んで自分の見識をブラッシュアップしています。特に経営者で言えば、本を読む習慣がない方は業績が芳しくなってもなかなか回復しません。一方で、習慣がある方は、なんとか改善するケースが非常に多いです。本は知識を取り入れるだけではなく、擬似体験ができる場合もあります。常に、その内容を自身のことに置き換えていくことで、一歩一歩良くなっていくのだと思います。常日頃から学びを止めないという意識が必要ですね。

今回は、一流の基本と自己管理について、一部をご紹介しましたが、他にも非常にためになる内容が書かれています。この二つは、特に20代や30代の若手のビジネスパーソンに取って役立つ部分かと思います。是非、社内研修などで活用してみてはいかがでしょうか。