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管理職・経営者におススメする今週の1冊 「マンガでわかるライザップ式接客術」

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管理職・経営者におススメする今週の1冊は、「マンガでわかるライザップ式接客術」です。

 

本書は、斬新なCMや芸能人などのダイエットで話題となったパーソナルトレーニングを提供するライザップの統括トレーナーが書いた書籍です。ライザップと言えば、CMが非常にインパクトありますよね。CMの効果もあってか、最近は経営者などでも健康のためにライザップに通う人が非常に増えています。

本書は、次のようなストーリーで構成されています。アパレルショップに勤める24歳の平井茜が主人公です。茜は、思うように売り上げを伸ばせず悩んでいました。その原因は、お客さんのニーズを考えない一方的な会話です。そして、ひょんなことから出会ったインテリアデザイナーの巽京香に「ライザップ式接客術」を学ぶことになります。

京香はダイエットをするためにライザップに通った経験があります。そこで本書の著者であるライザップ統括トレーナーの幕田純にその接客術を学びました。幕田は、仕事以外でそれを教えることはできないので、京香が茜に教えます。茜は、「ライザップ式接客術」を学びながら、試行錯誤をする中で、顧客ニーズを捉え、関係性を深め、売り上げを伸ばしていきます。

そんな茜の成長を通じて、「ライザップ式接客術」のすべてをわかりやすく学ぶことができる1冊です。どんな業種にも役立つ、接客術のバイブルとして評価が高い本です。

 

ライザップ式接客術は、大まかに次の三点で構成されています。

一つ目は、顧客の真のニーズに向き合う力、

二つ目は、顧客に徹底的に寄り添う力、

三つ目は、顧客と目標達成後も繋がり続ける力です。

営業や販売職ではない方も、顧客ニーズという視点は非常に重要です。どんな職種の方も誰か他の人のために仕事をしているからです。例えば、総務・人事は、会社の従業員や組織全体が顧客です。研究開発や各種制作、システム構築などの仕事は、顧客と接する営業・マーケティング部門の方と円滑なコミュニケーションが取れないとニーズに合致したものは作れないでしょう。従って、ビジネスパーソン全体に必要な考え方を学べる本だと思います。

今回は、本書のストーリーに沿って、三つの主要な点についてご紹介します。そして、それを組織のマネジメントへの活用という視点でみていきます。

 

顧客の真のニーズに向き合う力

茜は京香と出会う前、来店した柏木理恵の気持ちを何も考えず、一方的にモデルが着ている服を勧めます。自分に自信が持てないタイプである理恵は、その後しばらく店に来なくなります。その間に京香は茜に、真のニーズに向き合う力のポイントである、①100%肯定する、②顧客に一生懸命興味を持つ、③5回WHYを繰り返し、深層心理を探る、ということを教わります。その後、再度来店した理恵に対し、まず相手のキーホルダーに気づきます。そして3つのポイントを活用し、理恵の真のニーズを明らかにします。結果、理恵が明るくて積極的な女の子に憧れていて、自分もそうなりたいと考えていることが分かります。茜は、自信が持てない理恵に対し、少しだけイメチェンできる服を提案することにより、喜んでもらいました。

経営者や管理職にとって、部下はある意味、顧客のようなものかもしれません。当然ですが自分一人でできることはごくわずかで、業績を向上させていくためには、いかに社内の士気を高め、全員が前向きに取り組んでいくかが重要です。上司が部下に対し、100%肯定し、興味を持つことによって、相手は認められていると思い、組織に必要な人間だと実感できるのだと思います。こういうことがモチベーションの向上につながります。そして、WHYを繰り返し、部下の深層心理を引き出すことにより、適材適所での配置、能力開発などに役立てることができるでしょう。弊社も従業員がいますが、一緒に食事をする回数を増やし、できるだけ、プライベートな話をするよう心がけています。

 

顧客に徹底的に寄り添う力

理恵から恋の相談を受けた茜は、徹底的に理恵に寄り添うことを決めます。そして、恋の成就という目標を達成するために、ライザップ式接客術を活用していきます。それは次の三つで構成されています。一つ目は、「マネジメント」で顧客が正しい方法でプログラムを実行できるようにフォローし目標達成まで導くことです。二つ目は、「メンタルサポート」で、人間の弱い部分を支えていくことです。三つ目は、「マインド」で、自分自身がゲストの人生を変えるという強い気持ちを持つことです。茜は、まず理恵と一緒になって恋の成就のためのプログラムを詳細に作り込みます。例えば、相手の趣味嗜好を知ることから始まり、それに合わせたファッションや行動をしていくといった具合です。そして、プログラムを実行している最中に、理恵が弱気になるのを支えていきます。また、茜自身も理恵の目標達成に向けて、強い心を持ってサポートします。この徹底的に寄り添う力によって最終的には理恵の恋はうまくいきます。

これもマネジメントに応用すると、部下のニーズが分かることにより、配置や能力開発について、一緒に考えることができます。それを一緒にプログラムとして落とし込むことが重要です。そして、仕事がうまくいかないとか、自信をなくしている様子が見えれば、上司自身が部下に目標達成して欲しいことを伝えます。その上で、メンタルサポートを行い、徹底的に寄り添う姿勢を見せることが重要です。私は、会社員での管理職の時も、経営者としてのマネジメントでも、常に、一緒に部下の人生をよりよくするという目標を掲げて、コミュニケーションをとっています。具体的には、部下の将来の目標とそれに向けた個人的な能力開発、具体的に学んでいくべき内容まで、プログラムを一緒に考え、寄り添うようにしています。

 

目標達成後も顧客と繋がり続ける力

最後に、もっと関係性を深めるために、茜は新たな目標を理恵と共有します。目標達成後も顧客と繋がり続けるには、ライザップ式接客術では、次の三段階が必要だということを京香から学びます。第一段階は、依存で、茜がいないと目標達成できないという段階です。理恵は恋の成就までの間、茜に依存してきました。茜は徹底的に寄り添うことで、目標を達成し、ともに成長しました。そして、第二段階が自立です。これは、茜がいなくても理恵が一人でできるようになることです。さらに第三段階は相互依存で、お互いが自立し認め合った上でそれぞれが依存もできる状態です。ここまでくると顧客と繋がり続けることができるということです。

企業はゴーイングコンサーンでなければなりません。ということは、上司も部下も相互に成長し続けることが重要です。従って、両者とも継続的に新たな目標を設定し続け、お互いが依存しながら組織全体として成長していく仕組みが必要です。ここでのポイントは、部下の成長とともに上司もレベルアップした目標を設定し、成長していくことです。私も、常に自分自身の成長を大事に考えていますし、それに伴うよう部下の成長を促しています。企業や組織は、経営者や上司の器以上に大きくなりません。

 

私見ですが、ライザップグループは、あまり業績の良くない企業をM &Aしながら拡大をしてきたというイメージがあります。ライザップというパーソナルトレーニング事業で培ったメソッドを組織のマネジメントに応用しているように感じられます。パーソナルトレーニング事業のコンセプトは、人は変われる、結果にコミットするというものです。組織は個人の集合体ということを考えると、ライザップ式接客術は組織にも当てはまるのは当然ではないでしょうか。そういった意味でも、経営者や管理職の方のマネジメントにも活かせるのではないかと思います。是非一度、読んでみることをお勧めします。