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管理職・経営者におススメする今週の1冊 「まんがでわかるライフシフト 100年時代の人生戦略」

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管理職・経営者におススメする今週の1冊は「まんがでわかるライフシフト 100年時代の人生戦略」です。

 

皆さんは、自分自身の年代の方々の平均寿命が何年かご存知ですか?または、今の子供たちの平均寿命が何年か想像されたことありますか?ここで二つのデータがあります。2007年生まれの子供の半数が107歳まで生きうること、平均寿命世界一位の国は、寿命が10年ごとに平均2〜3年のペースで上昇していることです。

そこで、今月ご紹介したい一冊は、ロンドン・ビジネススクール教授が著者の「まんがでわかるライフシフト 100年時代の人生戦略」です。

 

リンダ・グラットン氏は、人材論・組織論の世界的権威であり、2013年にビジネス書大賞を受賞した「ワーク・シフト」の著者です。アンドリュー・スコット氏は、経済学の教授で、同スクールの前副学長です。

本書では、「寿命がますます伸び、技術革新など世の中の変化が非常に早い中で、生き方や考え方を変えていかないといけない」ということが述べられています。

前述の寿命のデータは本書で紹介されているものです。さらに著者は、50歳未満の日本人は、100年以上生きるつもりで過ごすべきだとも言っています。そのような中でも生き抜く力を手に入れることが重要だということです。

今までのように学校を出て、仕事をし、60代で引退するというような生き方が難しくなってきます。ちなみにこれを3ステージの人生と呼んでいます。寿命が伸びれば、公的年金はあてにできなくなり、引退後の人生を賄うほどの貯蓄をするのも難しいからです。

 

それではどのようにしたら良いのでしょうか?

今までの3ステージの人生からマルチステージの人生に移行するべきということです。いくつかのキャリアを持ちながら、能力や経験、人とのつながりや視野を広げ、人間的に成長し、人生の選択肢を広げていく生き方です。マルチステージの例は次のようなものです。副業をする、仕事以外に地域活動やNPO法人などでボランティアをする、仕事以外の人脈を築く、旅行に出かけて視野を広げる、などです。このように自分自身がどのような人間か常に意識して、受け身ではなく自分らしく主体的に選択をしていく生き方です。

そしてマルチステージを生きるために著者が重視しているのが無形資産です。資産には有形と無形の二つがあります。有形資産とは、貯蓄や不動産など目に見えるものです。無形資産とは、家族や友人、スキルやノウハウなどの目に見えないものです。

この無形資産は大きく分けて3つあります。

一つ目は生産性資産です。スキルや知識、仕事仲間や評判など収入を得るためのものです。今までは、キャリアの初期にまとめて知識やノウハウを得れば、一生安定した仕事人生が送れましたが、今後は違います。IoTやAIに代表されるように技術革新のスピードがますます早くなる今後は、環境の変化に合わせて、常にアップデートしていかなければなりません。一生涯、学習を重ねたり、人脈を広げていく必要があるのです。

二つ目は、活力資産です。これは、バランスのとれた生活や肉体的・精神的健康のことです。寿命が長くなればなるほど、健康の価値は高まります。また、マルチステージを生き抜くにはエネルギーがいります。精神的健康がなければ、そのステージを生き抜き、成長していくための努力を行うことは到底むずかしいでしょう。

最後は変身資産と呼ばれるものです。文字通り、社会の変化に対応し、新しいステージへの移行を成功させる意志と能力です。この能力を高めるためには、自分についてよく理解し将来の可能性を知ること、幅広いネットワークを持つこと、積極的に新しい経験をしていくことです。結局は自分自身を変えたいという気持ちが大事なのです。

それらの資産を活用し、成長しながら新しいステージを生き抜いていくことこそがライフシフトというものになります。そして、新しいステージは3つあります。一つ目はエクスプローラーで、日常生活から離れ旅したり、新しい人と出会ったりして既存の価値観から抜け出し、自分についての理解を深めていきます。二つ目は、インディペンデント・プロデューサーと呼ばれるもので、組織に雇われず、自分で仕事を生み出すことです。最後は、ポートフォリオ・ワーカーで、異なる種類の活動を同時に行うことです。会社員として仕事をしたり、副業をしたり地域活動を行うなどです。このような複数のステージを移行することで、遊び・学び・仕事の境目がなくなり、若々しく柔軟な人生を歩めるようになるというものです。

私自身もこのような生き方を知らず知らずのうちに行ってきたような気がします。それは、必要に駆られてということでもありました。私は、大学を卒業後、大手企業に就職しましたが、5年目で倒産してしまいました。大手企業に勤めていれば安泰とは、その時点で思えなくなりました。組織に人生が左右される生き方をやめて、自分自身が主体的に考えて選択する、そんな生き方をしないといけないと考え始めました。そのためには、どこでどんな仕事をしようともしても役立つものとして中小企業診断士という経営に関する資格を取得しました。そして、さまざまな企業の疑似体験をできる経営コンサルタントという仕事を始めました。そして、今に至るまで、生産性資産を高めるために、本を読んだり、さまざまな会合に出てビジネス交流を広げたり、食事や運動に気を使ったり、自分自身の棚卸を常に行ったりしています。

私は、この中でも最も大事なのは変身資産増大のポイントとなる、自分について理解し、積極的に新しい経験をしていくことだと思います。

自分には何が強みで、何が不足しているかを考えていくことが生き抜くためには必要です。これは企業でも同じです。競争を勝ち抜くためには、自社の強み弱みを明確にして、強みを強化したり、弱みを克服していきます。

そして、積極的に新しい経験をしていくことで、失敗や成功からさまざまな知識やノウハウ、考え方を学びます。百聞は一見にしかずというように、物事の本質は体験してみないと分かりません。失敗を恐れず果敢にチャレンジする姿勢が重要です。新しい経験は企業も重要です。私の経営コンサルタントとしての仕事は、経営に行き詰まっている企業の再生支援が専門分野です。長年多くの企業を見てきた経験から言えることは、新しいことに常にチャレンジしている企業は業績が良いケースが多く、逆に芳しくない企業は、新しいことを実施してこなかった企業です。

企業も人生も、成果を出し続けていくためには、常に成長できる環境に身を置き、主体的に変化をしていくことが重要ではないでしょうか。

本書は、今後の生き方について、指南を得られるとともに、非常に勇気を与えてくれる本だと思います。