経営改善・事業再生ノウハウ集

DDS(資本的劣後ローン転換)導入時の銀行内部事情

2013年11月3日

ある企業に対し、DDS(資本的劣後ローン転換)をした場合、銀行の貸倒引当金はどのように変化するのでしょうか?

簡単な事例を考えてみたいと思います。

A社に対しX銀行が10億円を貸出しているとします。

A社を再建するため、X銀行はこの10億円のうち、8億円を資本的劣後ローンに転換する金融支援を行いました。10億円はすべて無担保だとします。

金融支援を行う前は、A社の債務者区分は「破綻懸念先」だとします。

8億円の資本的劣後ローンは、15年間返済なし、金利は3.5%から0.9%に引き下げたとします。

A社にとっては、返済負担が減り、金利も2.6%下がったので、年間約2千1百万円の利息負担が軽減されました。メリットが非常に大きいのが分かりますね。

X銀行はどうでしょうか?

貸倒引当金を積む場合の引当率は、銀行によってまちまちですが、破綻懸念先に対しては60%程度と仮定します。

従って、この場合、当初10億円のうち、6億円を積んでいるということにします。

DDS実行後はどうなるでしょうか?

実行後、1年程度経過し、要注意先に債務者区分がランクアップしたとします。

要注意先は引当率が10%だと仮定します。

資本的劣後ローンは、100%引当なので、8億円+残りの2億円×10%=8億2千万円となります。

つまり、6億円の引当金では足りず、2億2千万円を積み増す必要性があります。

これは銀行にとって負担が生じますよね。

一方、他のすべての仮定を同じにして、DDS金額を4億円としたらどうなるでしょうか?

結論からいうと、実行後は4億6千万円となります。

つまり、6億円の引当金が、4億6千万円でよくなり、1億4千万円の利益が生じます。貸倒引当金戻入益といいます。

そうです。DDS実行金額によって、銀行のメリット・デメリットが変わってくるのです。もちろん、A社の状況や担保状況によっても変わってきます。

銀行は、DDSという金融支援を行うかどうか、懐具合やその他の要因等を加味して行います。

今回は引当金だけに注目しましたが、不良債権比率やA社の債務超過額、地域経済に与える影響、地域の雇用に与える影響、銀行内部における実務ノウハウ等、さまざまな要因を考慮します。

それらを再建計画という形にして銀行に支援を依頼することが大事ですね。

DDSというものは銀行にとっては、比較的踏み込んだ支援とも言えます。

それを勝ち取るためにも銀行内部のことはある程度理解しておくことが重要です。

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