経営改善・事業再生ノウハウ集

銀行から今期は黒字にして下さいと言われました。どういう意味なのでしょうか?

2013年10月7日

以前、ある経営者から、こんな相談がありました。
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Q:決算期直前になって、銀行から「社長、前期、前々期と赤字が続いているので今期は黒字にして下さい」と言われました。決算も間近で、赤字の見通しです。こんな時期に言われても黒字になんて出来ないということは銀行も認識していると思いますが、これはどういう意味なのでしょうか?粉飾をして黒字にして下さいという意味なのでしょうか?
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A:おそらく銀行の担当者に言われたのだと思います。結論から言うと、売上の水増しを行ったり、経費の先送りを行って粉飾をしろという意味ではありません。

上記のような粉飾決算を行っては決してなりません。当社でも、粉飾決算を行ってきた会社が相談に来た場合、取引銀行に全てを打ち明けるという約束を頂かない限り支援を行いません。粉飾をして銀行から借入を行うことは詐欺罪になる可能性もあることを重々認識しておかなければなりません。

銀行の担当者は、「なんとか営業努力で、最後まであきらめずに黒字にして下さい」という意図か、口頭では言わないものの「税法上、任意の減価償却を見送って黒字になりませんか?」という意図ではないかと思います。

担当者は黒字にしないと稟議を上申しにくいのです。3期連続赤字ともなると銀行内の当該企業に対する格付け・債務者が下がり、新規融資はおろか、短期借入の借換や手形割引さえも行えなくなる可能性が出てきます。

そのため、当該企業のためを思って(だと思いますが)、稟議を上申するためになんとか黒字にならないものかと考えているわけです。

企業会計原則では、減価償却は当然行うものですが、税法上は任意とされています。

中小企業の多くは、税法上の会計処理で決算書を作成していますので、税法上任意の減価償却を今期だけは行わないとすると、見かけは黒字になるケースもあります。

ただし、一つ間違えてはならないのは、たとえ減価償却を行っていなくとも、銀行内部の審査では、それを見抜いている場合が多いということです。

銀行は、担当者が決裁権限を持っているわけではありません。

金額によっては、支店長決裁の場合もありますが、多くの場合は、それ以上の審査部等での決裁となります。

担当者から上位の役職に稟議が上がり、支店から今度は融資部等へ稟議がまわるという合議制になっています。

つまり、担当者よりも融資に関して経験を積んだプロの目を通っていくわけですから、決算書を見て減価償却が行われていないということはある程度分かるわけです。

銀行の融資審査では、それを踏まえて判断しています。従って、担当者から「黒字にして下さい」と言われたからといって、減価償却を行わないというような小手先のテクニックを使うのは避けた方が良いでしょう。

では、どうすればいいのか?

中小企業への融資審査は、過去の決算数値などの定量的な面だけではなく、企業の持つ定性的な面、将来性も加味して行われます。金融庁も「金融検査マニュアル」で定性面を総合的に加味して審査を行うよう指針を出しています。

つまり、企業の強みや今後の業績改善に向けた事業戦略・施策を「経営計画」という文書にして、銀行に説明することが重要です。

その内容が具体的で実現可能性があれば、数値的には融資が厳しい企業でも、取引を従来通り円滑に行ってもらえる可能性は高くなります。減価償却を行わずに黒字にするよりも何倍も効果があると言えるでしょう。

また、口頭で伝えると担当者が文書にする時間がかかりますし、銀行の担当者は当該企業の業界のプロではありませんから、稟議書作成の際にモレが出てくる可能性もあります。

提出する時は必ず文書にすることをお勧めします。

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