経営改善・事業再生ノウハウ集

経営者保証を提供しないで資金調達をするにはどうしたらいいか?

2013年12月12日

先日12月5日に「経営者保証に関するガイドライン」が全国銀行協会のHPで発表されていました。
http://www.zenginkyo.or.jp/news/2013/12/05140000.htmlhttp://www.zenginkyo.or.jp/news/2013/12/05140000.html

これは、8割以上の中小企業で実際に行われている経営者の個人保証を減らしていこうとするためのものです。また、企業の再生・清算時に、個人保証を円滑に整理することによって、早期の事業再生、事業承継を促進しようという趣旨で策定されています。

一方で、法的拘束力はなく、中小企業、経営者、債権者(主に銀行など)が自発的に尊重・遵守することを期待しているということなので、活用が進んでいくには今後一定の時間がかかるであろうと思われます。

銀行がこのガイドラインをどの程度活用していくかは別として、ガイドラインに沿うことによって、中小企業の個人保証の問題が整理されていけば、起業率等も上がっていくのではと期待が持てます。

非常に重要な内容なので、今後5回にわたって、分かりやすくお伝えしていきたいと思います。

このガイドラインは、主に以下の内容で構成されています。また、債権者(銀行など)と中小企業・経営者双方の視点で規定されています。
(分かりやすいように、文言・内容はかなり変えています)

1.経営者保証を提供しないで資金調達をするにはどうしたらいいか?
2.資金調達時に、経営者保証を提供する場合の注意点は?
3.経営者保証の見直し(変更・解除)をするにはどうしたらいいか?
4.民事再生等、企業再生時に、経営者保証の整理を行うにはどうしたらいいか?

それでは、今日から5回にわたり、内容をお伝えしていきたいと思います。

まず初日は、
「1.経営者保証を提供しないで資金調達をするにはどうしたらいいか?」です。

現状、中小企業の融資取引は、8割以上が、経営者の個人保証付きとなっています。

中小企業は、多くの場合、経営者=株主です。そのため、企業と経営者の経理や資産が明確に区分されず、実質的には一体となっていることも多いのが現状です。

例えば、会社から経営者に貸付を行っていたり、会社所有の車などを個人で使用していたりします。また、中小企業は上場企業と違って、外部による監査を行う義務はなく、銀行側からすると、情報の正確性、完全性に疑問があるケースも多いのです。

適切な情報開示が行われないため、その保全のために経営者の保証を取り、経営者の規律付けを行う必要があるというのが銀行の論理です。
これを「情報の非対称性」といいます。

今回のガイドラインは、この情報の非対称性を解消出来れば、経営者の個人保証なしで貸出を行っていきましょう!というものです。

具体的には、会社として次のようなことを行う必要があります。
(1)会社と経営者の間の資金のやり取りが適切な範囲であり、外部専門家によるチェックがされていること
(2)財務状況、経営成績の改善を行い返済能力を向上させること
(3)銀行などの債権者からの情報開示の要請に対し、正確で信頼性の高い情報を開示すること

(1)は、役員報酬・賞与の金額や会社から経営者への貸付金の金額が社会通念上適正かどうか、または個人として消費した飲食代等を法人の経費処理としていないかなど、会社と個人が明確に分離されていなければならないというものです。さらには、それを取締役会や会計参与、外部監査体制などによってチェックされることが望ましいというものです。
ただし、それが適切かどうか判断するのは、銀行側とういうことになります。

(2)は、経営者個人の資産を考えなくても、会社の資産・収益力で、借入返済が可能であると判断できる状況ということです。ただし、具体的な数値基準等は示されていません。

(3)は、決算書だけではなく、事業計画や業績見通し、試算表、資金繰り表などを定期的に、かつ正確に報告することという内容です。

一方で、銀行などの債権者も次のような対応をしましょう!という内容になっています。

(1)経営者個人保証を代替えする融資手法の充実化を図ること
(2)会社の経営状況、担保設定状況、回収可能性などを総合的に判断して、個人保証を代替えする手法の融資を検討すること

(1)は、専門用語で言えば、停止条件付きや解除条件付きの保証契約や流動資産担保融資が例として挙げられています。

停止条件付きとは、会社が、ある特約条項に抵触しない限り保証債務の効力が発生しない契約です。例えば、試算表等財務状況の提出義務を怠ったり、意図的に不正確なものを提出した場合などに保証債務の効力が発生するというものです。

解除条件付きとは、会社が特約条項を充足する場合は保証債務が効力を失う契約です。例えば、自己資本比率が一定より高くなったり、経常利益額がある一定水準を超えた時などに、保証契約を解除できるというものです。

(2)は、先ほどお伝えした、会社側として行うことをしっかりとしている企業には、経営状況や担保状況、回収可能性などを総合的に判断して、個人保証を取らない取引を行っていきましょう!というものです。

いかがでしょうか?

ハードルは決して低くはありませんが、該当する、もしくは今後このような企業体を目指す企業は、銀行に対し、個人保証なしの融資取引を交渉していくことをお勧めします。

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