経営改善・事業再生ノウハウ集

民事再生企業の資金調達(手形割引編)

2013年9月13日

民事再生会社の資金調達は一般的に非常に厳しいのが現状です。

例えば、民事再生計画が認可決定されて、5年程度経過した会社でも新規の資金調達はスムーズにいかないケースがほとんどです。

これは金融機関が査定している債務者区分が原因です。

民事再生を申請した会社の債務者区分は原則「破綻先」となります。

その後、民事再生手続きが進行し、再生計画の認可決定が裁判所によって下された時点で、金融検査マニュアル上は原則「破綻懸念先」として差し支えないと考えられています。

金融機関の債務者区分は、信用力が高い順に、①正常先、②要注意先(要管理先)、③破綻懸念先、④実質破綻先、⑤破綻先、となります。

さらに、5年以内に正常先となるような計画で計画達成見通しが高いと認められる場合には「要注意先」とすることも可能と考えられています。

しかし、実態は再生計画期間(一般的には10年が多い)が終了し、再生債権が全額返済されるまで、破綻懸念先としている金融機関が多いのではないかと思います。

破綻懸念先の場合、金融機関は多額の貸倒引当金を積まなければなりません。金融機関によって違いますが、無担保部分の50%~70%程度と思われます。例えば、金融機関が民事再生企業に、新たに1億円の貸出をプロパー、無担保で貸し出す場合、5千万円~7千万円程度の引当金負担が発生します。こういうケースが増えてくると業績に与える影響も大きいのです。

一方で、手形割引であればどうでしょうか?

例えば、東証一部上場企業のような信用力のある企業の手形を民事再生企業が割引依頼をする場合は、決済が確実なものとして引当金を積まずに済みます。

この場合、金融機関は新規貸出よりも実行しやすいと言えます。

ただし、金融機関にとって、「破綻懸念先」への債権は手形割引も含めて全額不良債権となります。この不良債権を金融機関は開示する義務があるため、二の足を踏むケースが多いのです。

であれば、不良債権開示を行う年度末にだけ手形割引の残高をゼロにしておくことで、その問題もある程度回避出来るのではないかと思います。

現金商売でない限り、売上増加時には運転資金が必要になります。

売上を増やすべく営業活動を行いたいが、運転資金不足の心配からそれが出来ずにいるということでは当該企業はいつまでたっても業績改善が進みません。

新規資金調達は困難でも、手形割引に金融機関が応じることによって、業績改善につながる場合があります。

実際に民事再生企業で手形割引による支援を金融機関から受けたケースもあります。

企業側からこのような論理で金融機関に依頼をするのは立場的にも難しいと思いますが、上手く交渉をすることにより、手形割引という新たな資金調達が可能になり、さらにこのような事例が増えることを期待したいと思います。

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