経営改善・事業再生ノウハウ集

民事再生のデメリットをご存知ですか?

2014年9月25日

こんにちは。渡邊です。

本日は、意外と知られていない、「民事再生のデメリット」についてお伝えします。

事業再生の手法には、それぞれメリット・デメリットがあります。

それらを比較検討して最適な判断を下すことが重要になってきます。

このような手法を使えば再生できる可能性があります!というメリットの部分については、良く聞きますが、デメリットについてはどうでしょうか?

土壇場で、今後の事業継続の可否に関わる重要な時期だからこそ、そのデメリットを理解して判断を下すことが必要ですよね。

例えば、民事再生について。

民事再生というのは、弁護士や裁判所の関与のもと法律に基づいて再生計画を策定し、それに対し、同意を得ることで、債務が免除されるというものです。

同意については、大まかに言えば、債権者の過半数の同意、ならびに債権者の保有する債権額の半分以上が必要になります。

これには、仕入先などの買掛金なども含まれます。

再生計画が認可されれば、債務の9割近くが免除になるケースもあり、非常にメリットが大きい法律制度といえますが、一方でデメリットもあるのです。

デメリットとして、主に以下のものが挙げられます。

(1)顧客離れ
(2)仕入先との取引中止
(3)費用が必要
(4)新規の借入が当分困難になる可能性あり
(5)破産に移行する可能性あり

これらのデメリットを回避できるかどうか、を慎重に検討することが重要になってきます。

まず、(1)(2)についてお話します。

民事再生を申し立てると、インターネットニュースや、新聞にそのニュースが掲載されます。時には、地方紙の一面に載ることもあります。

一般の方からすると、民事再生=倒産という認識を持っている場合が多く、地元では、あの会社は倒産したという噂が流れることがあります。

その結果、売上が減少する事態に陥ります。

また、BtoB(顧客が企業)の場合、民事再生を申し立てるような不安定な企業とは取引できないという理由で、打ち切られる場合もあります。

しかも、一般の商取引の契約書には、民事再生申し立てにより契約解除できるという条項が入っているのがほとんどです。

また、民事再生は、銀行などの金融債務(借入金)だけではなく、支払手形や買掛金などの商取引債務も免除の対象になります。

従って、仕入先企業は、販売代金を回収できなくなり、そのような企業とは付き合えないとなります。

もしくは、取引を継続するにしても、現金前払いや代金引き換えなどの厳しい取引条件を要求してくるでしょう。

そうなると、売上は減少し、支払いは待ってもらえなくなり、資金繰りに窮し、事業の継続が困難になることさえあるのです。

そうなると、せっかく、民事再生により、再度事業を立て直そうとしても、破産に追い込まれることさえあるのです。

民事再生は、多数決で債権者との合意ができれば、債務を大幅に免除できる素晴らしい制度なのですが、事業価値が毀損するリスクもはらんでいるということです。

従って、そのリスクがどの程度なのかしっかりと見極めたうえで、意思決定しなければなりません。

民事再生ではなくても、銀行など金融機関のみの合意で、借入金の免除を受けたというケースも実例としてあります。いわゆる、私的整理と呼ばれる手法です。

従って、まずは私的整理でなんとかできないか検討し、民事再生は最後の手段と考えた方が良い場合もあるのです。

次に、(3)の費用ですが、民事再生を申し立てるには、費用がかかります。

この費用は、大きく分けて二つあります。

一つは裁判所への予納金というもので、これは民事再生を進めていくにあたって、手続のための費用をあらかじめ支払うものです。

会社の負債の額によって違いますが、例えば、負債(金融機関からの借入金や買掛金など)が1億円以上あれば、400万円の予納金が必要になってきます。

これらをあらかじめ、用意しておかなくてはなりません。

二つ目は、民事再生を申し立てるにあたって専門家に支払う費用です。民事再生には弁護士と公認会計士の力が必要です。

その費用を着手金として支払う必要があります。

金額は裁判所への予納金の2倍~3倍程度が一つの目安となります。この着手金が、申立から認可決定までの約半年間の弁護士費用となります。

また、民事再生にあっては、財産評定や、再生計画案の立案につき税務・会計上の処理が必要となるため会計士への支払が別途必要です。

従って、予納金と弁護士等への費用を合計すれば、先ほどの規模の企業でも1,000万円以上の資金が必要になります。

民事再生を申し立てる際には、資金的なタイミングを考慮する必要もあるのです。

最後に、(4)と(5)について。

もし仮に、民事再生で、再生計画が裁判所に認可されない場合はどうなるのでしょうか?

この場合、破産に移行することになっています。

再生計画が認可されないというのは、債権者からの同意が得られないということです。

再生計画の認可要件は、債権者の半数以上、かつ同意した債権者の保有する債権額が1/2以上でないといけません。

債権者数に関しては、数として多いのは、仕入債務などの商取引債権者の場合がほとんどです。

従って、これらの債権者からの同意をどのように獲得するかということになります。

最近では、少額債権者(例えば10万円以下など)は債務免除対象からはずし、多数の商取引債権者へ弁済をすることによって同意を得るという運用がなされていますので、債権者数の要件は満たすことができるケースは比較的多いかと思われます。

しかし、債権額に関しては、多くの場合、その多額を抱えているのが、銀行などの金融機関です。

従って、同意した債権者の保有する債権額が1/2以上になるためには、金融機関の合意が必要不可欠になります。

この金融機関の合意が得られるような再生計画が描けないと、破産に移行してしまうのです。

それから、計画が認可されたとしても、金融機関から新たに資金調達をするのは難しいと言わざるを得ません。

金融機関としては、民事再生計画が認可され、3年経過すれば、理論上は新規の融資を行うことも可能です。

しかし、実際は厳しいケースの方が多いと思われます。

私の知っている会社では、再生計画認可後7年経過しても、金融機関が新規の融資を実行してくれないというケースもありました。

一度、民事再生を行った会社に対しては、保守的に考え、融資をしないという形になっているのですね。

このように、民事再生を行うにもさまざまなデメリットがあります。

それらをメリットと比較検討したうえで、判断することが重要ですし、その前に、できることはないのか、しっかりと考えることが重要です。

民事再生は最後の手段と考えるべきと、私は思います。

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